Pro's way

住宅照明のヒミツ

19

2019.12

あなたのお宅、探訪させてください。

今泉卓也

Interview

大反響いただいたこの企画!
今回も、プロの技をたっぷりご紹介します。

今泉卓也のお宅探訪2
Takuya Imaizumi
住宅デザイン部 東京オフィス

「今泉卓也のお宅探訪」の初回分はこちら

またまたこんにちは、今泉卓也です。私の自宅とTACT大阪 安東くんの家をご紹介した前回の「今泉卓也のお宅探訪」。おかげさまで、たくさんの方から面白かった、もっとやって!というお声をいただきましたので、早速、第2回をお届けしようと思います。

今回ご紹介するのは、仙台TACTの古澤皇枝(きみえ)さんの自宅です。先の3.11で自宅を失い、新たに再建した家でご主人と娘さん、70代のお母さま、そして猫1匹と共に暮らしています。

では早速、このお宅の見どころです。
 2層吹抜け8畳のリビングの南側には、ダブルライン1500×2本のコーブ照明が設置してあり、間接照明独特のふわりとしたやさしい光がリビング空間全体を包んでいます。天井面がレッドシダー貼りで光の反射が弱くテーブル面で70~80Lx程度という、スターバックス並みの明るさ(暗さ?)なのですが、白内障のお母さまには、まぶしさを感じなくてちょうどよいとのこと。ソファの両サイドにスタンドライトを2つ置いているので、本を読んだりするのも困らないそうです。施主自身がプランするからこそ実現したこの思い切った照明計画。住まう方の状況を考えたプランの在り方は、私にとってもとても勉強になるものでした。

検証

白内障をシミュレーションしてみる。

白内障の方に、直接光がどう見えるのかシミュレーションしてみました。(白内障体験ゴーグルを通して撮影)

赤丸は、ベースライトです。ぼやけた視界の中で、光源が見える器具はひときわまぶしく感じます。

左が一般的なダウンライト、右はグレアレスタイプです。
一般的なタイプと違い、グレアレスならまぶしさが少ないことがわかります。
グレアレスタイプの照明というと集光のイメージを持たれる方が多いと思いますが、拡散タイプを選ぶことで、ベース照明としても使っていただけます。

私は、60Wと100Wのこの2つをよく使っています。
みなさんも、ぜひご活用ください。

DDL-8770 YW
LED 7W 白熱灯60W相当

DDL-8772 YW
LED 9.1W 白熱灯100W相当

今泉の結論

目にやさしい拡散型グレアレスは、
ベース照明にもGOOD!

続いては、キッチンダイニングのスペースです。

ダイニングは、コーニス照明とテーブル上のペンダント。キッチンは、食器棚上の間接照明とシンク上のダウンライトで構成されています。

ダイニング横のコーニスです。一般家庭では、なかなか美しい壁面を残せないためコーニス照明は難しいのですが、上部をフカシ壁にして器具を入れることで成功しています。窓にはロールスクリーンを逆巻で設置して壁面をフラットにし、フカシた上にエアコンを設置して、間接照明がエアコンを照らさないように工夫されています。このコーニスがダイニングスペース全体の照明になっているうえ、壁に作業台を設えることで、作業用の照明も兼ねています。

書き物やミシン仕事をするのにも十分な明るさで、ミシンの手元球をつけずに作業できるそうです。本人いわく、作業していない時にはちょっと明るすぎるくらいなので、調光を入れておけばよかった、と後悔しているとのこと。間接照明に調光は必須で考えるのがよいですね。

間接照明でも、光源がツブツブしているタイプと面発光するタイプがあるのをご存じでしょうか? 古澤家のダイニング横のコーニスに使用した「デコライン」は面発光なので、影がよりナチュラルです。今なら「ひゃくまる君」もオススメ!用途によって、器具を選んでいただくといいですね。

食器棚の上の間接照明は、置くだけの「まくちゃん」を使っています。吊り戸棚から天井まで30cmほどあるので、光が拡散し、とても明るく感じますね。

次の2つの写真は、ダウンライトを消して、間接照明だけで撮影したものです。吊り戸棚の中までしっかり明るいですし、下のカウンター面も十分な明るさを確保できています。

検証

間接照明は、作業に適しているのか?!

「間接照明は雰囲気は良いけれど、作業用には向かないんじゃないか…」というお声をよく聞きます。本当にそうでしょうか?

ダウンライトの下では、手の影がくっきり出てしまいますが、間接光なら影もやわらか。作業のしやすさは明確ですよね。

次に、キッチンのダウンライトで実験です。後ろの間接照明をつけた場合と、消した場合を比較してみましょう。間接光がないと手の影がクッキリ出てしまいますが、間接をプラスすると影がやわらかくなります。ダウンか間接かではなく、プラスして相乗効果を狙うのがベストだと思います。

今泉の結論

作業の光にも間接照明。
間接+ダウンなら怖いものナシ!

次に、寝室の照明です。調光で色温度がかわる「温調」を採用しています。ベッドサイドには、読書灯として2つのブラケットがついていますが、通常は間接照明だけで過ごしているそうです。

前回もご紹介しましたが、「温調」は100%点灯の2700Kから1%点灯の2000Kまで、段階的に色温度が変化しスムーズな入眠に最適です。白熱灯は、調光することで色もやわらかなオレンジに変化しますが、一般的なLEDは調光しても白いままですよね。なので、リラックスしたい空間には「温調」をオススメするのです。

普通のLED 100

普通のLED 1

「温調」 100

「温調」 1

最後に、玄関ホールのニッチをご覧ください。ダウンライトもついているのですが、来客の時以外は、このニッチの間接照明だけをつけているそうです。やさしくおしゃれな光の演出が効いていますね。女性デザイナーならではのセンスを感じました。

さて、今回ご紹介した古澤邸は、いかがでしたでしょうか? 高齢者のための間接照明、作業性を考えた間接照明と、間接の価値についてご紹介しました。みなさんのプランにぜひお役立てください。では、また次回をお楽しみに~!