Pro's way

住宅照明のヒミツ

07

2017.09

吹抜けキャンディーズ

田中 幸枝

Interview

吹抜け照明を成功させるポイントは、「いかに美しい空間を創るか」に尽きます。
Yukie Tanaka

吹抜けキャンディーズ3名のトリとなりました。
ズバリ、吹抜け空間の照明計画のポイントを教えてください。

まず「地明かりと明るさ感を考える」こと、
そして「空間の美しさを台無しにしない」こと、の2つです。

「地明かり」というのは、生活するのに必要な明るさのことです。例えば食卓テーブルの上だと、お料理をおいしそうに見せ、食事をするのに最適な照度が必要ですよね。一方「明るさ感」は、その空間を快適に感じる見た目の明るさのことです。この「地明かり」と「明るさ感」を確保するというのは、照明プランの基本なのですが、吹抜け空間では天井が高く空間が広いため、通常の一層空間とは違うということをしっかり意識しておかないと、失敗しかねません。

しかも、吹抜けだけで成立する空間というのは少なく、横に一層空間があったり、二階の廊下があったりと、連続する空間と合わせて考えていく必要があります。わかりやすい写真でご説明しますね。

吹抜け空間と一層空間に、同じ器具を配当すると、吹抜けの地明かりが足りません。

吹抜け空間の器具を高天井用に変えると地明かりは揃いますが、吹抜けの明るさ感が不足します。

上面配光のブラケットを追加すると、地明かりと明るさ感が揃いました。

次に「空間の美しさを台無しにしない」についてですが、失敗例の写真を見ていただきましょう。これは一目瞭然ですね。
 ダウンライト、ブラケット、スポットと、様々な器具をたくさん配灯してしまい、せっかくの美しい空間が、残念なことになってしまっています。特に平面図だけで計画すると陥りやすい失敗ですね。プラン時には吹抜けを立体的に考えるために展開図を描いたりして、空間を把握することが重要です。

そうすることで美しい壁面や天井面を見つけ、建築と照明器具の取り合いも違和感なく収めていくことができます。ただ、これまで吹抜け用の器具は種類も少なく、空間の照度を取るためには、どうしても器具の種類と数が多くなりがちでした。さらに、梁があったり、ファンが付いていたりすると、本当に照明計画が難しくなってくるのですが、私たち“TACT高木チーム”がこんな器具が必要だ、と感じたものを毎年開発していますので、ずいぶん選択肢が広がってきていると思います。吹抜け用の器具をうまく使って、器具の種類や数を整理しながら照明計画をすることで、美しい吹抜け空間をつくっていただきたいと思っています。照明メーカーとしては、本当はたくさん器具を使っていただくほうがいいんですけどね(笑)

田中さんがプランした、事例を教えてください。

この物件は、四角い部屋の連続ではなく、とてもこだわった造りになっています。吹抜け空間の天井面はウッド貼りです。この建築の美しさを際立たせるために、照明器具の存在を隠す間接照明を採用しました。

反対側から見た写真です。ダイニングキッチンや、玄関への廊下が続いていて、2階部分には廊下と居室があり、トップライトも設けてあります。それぞれの空間とも、間接照明をベースに、1階天井と吹抜け部分を見極めて配灯したダウンライトで、空間を活かしたリズミカルな照明計画としました。先ほどお話ししたように、平面図だけで考えるのではなく立体的に考えることで、空間の美しさを照明によってより引き立たせることができます。

外観写真を見てください。間接照明のグラデーションの光に照らされた天井面が、とても印象的です。部屋の中だけでなく、外から見ても美しい空間になりました。夕暮れ時、帰宅されるご家族をやさしく迎えるのも、照明の役割の1つ。複雑な空間のため照明プランにはかなり悩みましたが、とてもやりがいのあるお仕事でした。

この物件の詳細はこちらでご覧いただけます。

“吹抜けキャンディーズ”は、今後、どのような活動をしていきますか?

まずは、吹抜け空間の照明プランの成功事例をもっともっと増やしていきたいですね。そして、そのノウハウをカタログやコンテンツでご紹介したり、設計士さんICさん向けのセミナーでお伝えしていきたいです。そしてもう1つ大きな使命は、吹抜け用の照明器具を開発することですね。今年は、上下光のブラケットをブラッシュアップして、よりハイパワーな製品を開発しました。従来製品も人気が高かったのですが、私自身もっと光量の大きな製品があればいいなと思っていたので、実現できてよかったです。

私たちが開発した製品がお役に立てば、こんなにうれしいことはありません。器具のバリエーションを増やして、いっそう美しい空間づくりに寄与していきたいと思います。なにより、住まわれる方にとって満足いく空間、心地よく生活できる空間づくりのお手伝いをすることが、私たちの歓びです。どんな吹抜け空間も、キャンディーズに任せれば大丈夫だと言っていただけるように、実績を積んでいきたいと思います。