Pro's way

住宅照明のヒミツ

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2019.05

狙うは1人ベストナイン?

広島のオールマイティデザイナー山本 樹里

Interview

照明の力で、空間をどう魅せるか…それが私たちの仕事の根源です。
Juri Yamamoto
住宅デザイン部 大阪オフィス 広島駐在

住宅だけでなく、施設や店舗も担当されているそうですね?

住宅デザイン部の所属なのですが、中四国エリア全体を担当しているので住宅だけでなく店舗や施設のお仕事も多くご依頼いただいています。幅広い業種のプランをするのは難しくないのかとよく聞かれるのですが、やるべきことは同じなので、抵抗はないですね。建築家さんから与えられた空間があって、照明でその空間をよりよくしていくというのは、どんな建物でも同じ。天井の状況に応じて、どう整理整頓していくのか、ということですよね。こういう基本は、師匠である高木からたたき込まれているので、自信があります。

住宅と施設・店舗ではスケール感や、目的が異なります。住宅用の器具はもちろん、施設・店舗の器具も使いこなします。照明のノウハウ&テクニックを店舗と住宅、両方に応用できるので、メリットも多いんです。

山本さんが担当された事例をご紹介ください。

では、最初に住宅展示場の事例を見てください。設計士さん、コーディネーターさんと何度も打ち合わせをしてプランしました。天井や壁の素材にこだわった全体的に重厚な設えのため、それらを引き立てて照度も確保できるよう気を使いました。特に間接照明は、照らす面の素材や色によって明るさ感が変わりますので、注意が必要です。

こちらは、医院横に建つ調剤薬局です。カフェやオフィス、ドラッグストアなども併設したランドマーク的な建物で、円形の独特な形をしています。この形状を生かすため、照明も放射線状に設計しました。薬局っぽくしたくない、というご希望があったので、安らぎを感じていただけるホテル風の温かく優しい印象の空間をベースに、カウンターでは作業性を考慮した、メリハリあるプランにしました。

次は、美容院の例です。カットコーナーは作業性を考慮してパワーペンダントで全体を明るく、待合いコーナーはルーバーの間にスポットを仕込んでメリハリのある落ち着いた印象に。シャンプーエリアには間接照明とブラケットで安らぎの空間を演出しました。カットコーナー全体はカラーリングの色が分かりやすいように白い色温度のものを、反対にミラー前の顔に当たる部分は電球色で血色よく見えるよう配慮しました。美容院には高演色性の「Q+」の採用もおすすめしています。

最後はお寺の事例です。3層の軒下の梁が印象的な設計のため、コーブ照明で夜も美しく見えるようにプランしました。梁の間に1本ずつ間接の器具を入れて、三重の塔のような荘厳なイメージに仕上げています。本堂では、スポットライトで御本尊様を美しく浮かび上がらせ、広間の間接照明とダウンライトは調光すると、あたたかみのある光になる「温調」タイプを使って、落ち着いた雰囲気を演出できるようにしました。

設計士さん、ICさんへのメッセージをお願いします。

美容院だからカフェだからと、業態ごとに画一的に考える前に、ご要望をしっかり確認することが大事だと思います。例えばリニューアルの場合は、以前の照明がどうだったか、どう変えたいかをお聞きします。独立してお店をはじめられる時には、前のお店の状況を確認します。慣れた環境をベースにお話しされることが多いので、そのベースの状態を知ることで、ご希望が理解しやすくなると思います。

ここ数年、セミナーなどでお会いしたお客様からご依頼いただくことが増えてきて、とてもうれしく思っています。これからも、呼んでいただければどこでも行きたいと思います。 中四国エリアの照明プランなら、なんでも山本樹里へお声かけくださいね!