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2019.03
吹抜けだけじゃない!
古川 愛子
Interview
- Aiko Furukawa
近頃、クリニックの照明を担当されることが多くなってきたと聞きました。
地域密着型の小病院やクリニックは、ハウスメーカーさんが手掛けられることも多いため、私たち住宅チームに照明プランをご依頼いただくことが増えてきました。ゼネコンさんが作られる大型施設と違うところは、メーカーによって建物構造に特徴があるため、照明手法が限られたり、使用器具が断熱施工に対応する必要があることです。ですから住宅照明に慣れたデザイナーのほうがよいのかもしれません。照明計画としては、用途・部屋ごとに適正な照度を確保するという基本は一般住宅と同じですが、クリニックの場合には、高い均斉度(ムラなく明るい空間)を確保することも重要です。また、エントランスや通路では患者さんをスムーズに誘導する光環境を整えるなど、気を付けるポイントは多岐にわたります。
具体的に、クリニックの照明のポイントを教えてください。
患者さんは診察室より待合室にいる時間のほうが長いので、リラックスして過ごしていただくために、刺激のないやさしい光環境をつくるように努めています。間接照明を多用したり、電球色や温白色などの温かな色温度の照明やグレアレスダウンライトなどを使用することが多いです。ただ処置室などの採血する場所では、静脈が確認しやすいように昼白色の照明を使う必要があります。用途にあわせた照度と色温度、均斉度がいかに重要かということですね。
それから、例えば歯科医などでは診察台の向きや配置も確認することが大事です。患者さんが上向きに寝た時に、照明の発光面が目に入ると眩しいですからね。渡された図面だけでなく、設計士さんとしっかりコミュニケーションをとって進めるように心がけています。
患者さんの誘導という面では、廊下では案内サインに目がいくようにしたり、玄関から待合室に入ったらすぐに受付がわかるようにするなど、照明が自然に誘導をサポートするように考えています。
透析専門クリニックの事例をご覧ください。透析患者さんは毎週3日、一回に4~5時間もの間ここで過ごされますので、自宅のようなくつろぎを感じていただけるよう、間接照明メインでプランしました。
透析室です。
モニターを見ながら過ごされるので、画面への映り込み対策のため、間接照明をベースにしています。
患者さんの入れ替わり時には、温白色のダウンライトを点灯して、スタッフさんの作業をサポートします。
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下の写真は、インテリアから健康を考える「Active Care®(アクティブ・ケア)」の考え方を取り入れたクリニックのリニューアル事例です。院長先生とデザイナーさんのこだわりで、診察室に電球色のベースライトを導入しました。私にとっても電球色ははじめてのケースでした。
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器具選びの注意点は?
LEDのベースライトを使用する場合は、眩しさを軽減するために下面開放ではなく、ルーバーやパネル付きのものを選んでください。1種類の器具で計画するのではなく、壁面を間接照明やダウンライトで明るくするなど、部屋全体のバランスで考えるとよいかと思います。
間接照明は明るくてやさしい光なので、クリニックにも適しています。幕板なしで簡単に施工できる「まくちゃん」や、100mmのスペースに納まる「ひゃくまる君」などを上手に活用してください。処置室の作業台の上には、収納の吊戸棚が設置されることが多いのですが、そのような場合には、手元灯として使える「棚ぴた君」が便利ですよ。
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まくちゃん
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ひゃくまる君
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棚ぴた君
設計士さん、ICさんへのメッセージをお願いします。
大光電機は、住宅だけでなく店舗・施設の実績も多く、たくさんのノウハウをもっています。今回は一例として、私が担当したクリニックをご紹介しました。これからも、住宅・非住宅にかかわらず、照明プランやセミナー、研修などのご希望があれば、遠慮なくご依頼ください。
照明デザインを通して、日常生活をストレスなく過ごしていただくお手伝いをしていきたいと思っています。一緒によりよい空間づくりをしていきましょう。