Pro's way

住宅照明のヒミツ

06

2017.07

吹抜けキャンディーズ

古川 愛子

Interview

吹抜けコーニスの秘密兵器「カベちゃん」の威力とは?!
Aiko Furukawa

この春の新商品「カベちゃん」は、古川さんの企画だそうですね。
どのような商品か、ご紹介ください。

昨年6月に、TACT高木チームの田中、富和と私(古川)の3人で『吹抜けキャンディーズ』を結成。吹抜け空間の照明計画のノウハウを広めるために、「吹抜照明カタログ」を発刊して、全国でセミナーも展開してきました。「カベちゃん」は、この1年の経験をもとに開発した、吹抜けや高天井の壁を照らすのに効果的な間接照明専用の器具なんです。

「カベちゃん」の特徴をご紹介しますね。まず、広い面積を美しく照らすためのパワーがあるので、空間の明るさ感をしっかり確保できます。しかも発光面が斜め下向きになっているので、上のほうに光溜まりができにくく、下まできれいに光が伸びるようになっています。そして幕板なしで、天井面にカンタンに施工していただくことができます。吹抜け空間の間接照明は難しい・・・と思われる方が多いようですが、そんな方にこそ、使っていただきたいお助け器具になっています。

「カベちゃん」誕生のきっかけを教えてください。

これまで、吹抜けコーニスのような広い面積を照らす時には、「ダブルライン」という器具を提案することが多かったのですが、そのままスリットに入れる収まり(図1)では発光面が目に入りやすく、器具を奥に隠し過ぎるとカットオフラインが目立ってしまうという問題がありました。(写真A)

(図1)

(写真A)

そこで、建築造作で幕板を作ってもらい、器具を側面に取り付けてバウンド光で壁を照らす収まり(図2)を提案するのですが…

(図2)

現場に行ってみると、造作はできているのに、器具を天井面に取り付けているケース(図3)が何度かあったんです。電気工事店さんが間接照明の施工に慣れていないと、間違って天井面につけてしまうようなんです。特に吹抜けの場合は、高い場所での施工が大変なので、なおさらそういう施工になってしまうことが多いようです。

(図3)

それで、施工が簡単で、吹抜けの広い壁を照らすのに最適な器具を開発する必要性を感じました。施工性がよく、眩しさを抑えて、光がキレイなハイパワー商品です。収まり(図4)もシンプルで、簡易取り付けが可能です。

(図4)

「カベちゃん」の上手な使い方や注意点があれば教えてください。

「カベちゃん」を納める天井のスリットは、幅150~200mm程度で設定してください。器具の発光面からカベまでの距離を離したほうが光がきれいに伸びます。また、この収め方の場合、器具を幕板で隠さないので、近い位置から上を見上げると光源が目に入ってきます。「カベちゃん」の発光面は、人間の垂直視野角(視界に入る範囲のこと。まっすぐ前を向いた状態で上方向へ60°)に合わせて斜めに向けて設計(図5)していますので、日常生活で発光面が視界に入ることはなく気にならないと思いますが、ソファの位置などは注意が必要かもしれません。

(図5)

それから、吹抜けや高天井ではない通常の天井高の場合は、「カベちゃん」では明るくなりすぎるので、「まくちゃん」を使ってくださいね。この場合、ビスは横打ちになるので、開口を150mm以上取らないと施工が難しくなりますので、ご注意ください。(図6)

(図6)

設計士さん、ICさんへのメッセージをお願いします。

吹抜け空間で間接照明を成功させたいみなさん、ぜひ私が開発した「カベちゃん」を使ってみてください。梁やファンが入っていてダウンライトを配灯しにくい場合は、「カベちゃん」で間接照明にトライしてくださいね。

照明計画をする際に、空間が美しく見える、建築が映える照明、というのはもちろん大切ですが、住宅の場合はそれ以前に、その空間で生活する方の日々の暮らしにとって、楽しさや安らぎを感じていただけるような計画が重要になってきます。暮らす方の生活シーンを想定してプランされると、よりよい照明計画が出来ると思います。

また、みなさんのプランを実現するために「こんな問題がある」「こんな器具がほしい」といったご意見があれば、ぜひ私たちに教えてくださいね。いっしょに解決していきましょう。