Pro's way

住宅照明のヒミツ

29

2022.05

富和 聖代

Interview

素材を引き立てる光 富和 聖代

光の当て方でタイルの表情は変わる

インテリアにこだわられるお宅では、一部の壁をタイル貼りにして見せ場とするプランが多く見られます。タイルには表面に凹凸のあるものや光沢のあるものなど、さまざまな種類があり、光の当て方でその素材の表情は大きく変わります。 そのため、どの器具を使えば良いのか悩まれる方も多いのではないでしょうか。

新カタログ 【 D.LIGHTING STYLE 】 の巻頭ページ
【 LIGHTING COMPOSITION 】 では、 “ インテリアを美しく引き立てる光 ” をテーマにさまざまな手法を掲載しています。その中から今回は、 「 タイルの特徴に合わせた照明術 」 をご紹介します。

01. 『 凹凸のあるタイル 』 をダウンライトで照らす

厚みの異なるタイルを混ぜた 『 凹凸のあるタイル 』 の演出です。こちらをグレアレスダウンライトの「集光タイプ」 で照射しました。タイルに 「 濃い光の陰影 」 がつき、より凹凸が強調され重厚感が生まれます。落ち着いた雰囲気のインテリアに適した演出です。比較として通常の 「 拡散光タイプ 」 で照射した場合は、タイルに 「 柔らかい陰影 」 がつき、優しい印象の空間に仕上がります。

  • ■ グレアレスダウンライト ・ 集光タイプ

    壁からの距離150mm
    取付ピッチ600mm

  • ■ ダウンライト ・ 拡散光タイプ

    壁からの距離250mm
    取付ピッチ600mm

02. 『 暗い色のタイル 』 を間接照明で照らす

黒に近い 『 暗い色のタイル 』 の演出です。暗い色の素材は明るい色の素材に比べ 「 反射率が低い 」 ため、光が伸びにくくなります。そのため、『 暗い色のタイル 』 を通常の 「 拡散光タイプ 」の器具で ‟ 側面取り付け ” にて照らした場合、壁の上部に光が溜まり、床まで伸びません。

■ 通常の器具 ( シングルライン ) ・ 拡散光タイプ

  • 暗い色の素材は光が伸びにくい

  • 明るい色の素材は光が伸びる

そんな時は、 「 集光タイプ 」 の器具を “ 天井取り付け ” で施工するのがオススメです。 『 暗い色のタイル 』 の場合でも床まで光が伸びるため、壁全体をしっかりと照らすことができます。

■ LZ LINE ・ 集光タイプ(20°配光)

03. 『 光沢のあるタイル 』 を間接照明で照らす

高級大理石をモチーフとした 『 光沢のあるタイル 』 の演出です。光沢のある素材を間接照明で照らす場合は、器具の種類と収まりに注意が必要です。通常の器具で “ 側面取り付け ” とした場合、 「 発光面の映り込み 」 が発生し、タイルの魅力が半減してしまいます。

■ 通常の器具 ( シングルライン )

これは ” 鏡面 ” となったタイルが、本来見せたくない発光面を映し出してしまった結果です。「 デンタルミラー 」 や 「 カーブミラー 」 は “ 見えないところを見る鏡 ” 。
タイルがこうなってしまわないよう、秘訣をお伝えします。

デンタルミラー

カーブミラー

『 まくちゃん 』 で映り込みをコントロール

オススメは幕板付きの 『 まくちゃん 』 です。器具の幕板側を壁側へ向けて設置すれば、 「 発光面がタイルに映り込まない 」 ため、美しく照らすことができます。パワーがあり明るいので、リビングなどの広い空間に適しています。

ただし、《 天井のフトコロの高さ 》 には、
十分注意してください

■ まくちゃん

《 壁までの開口 》 は
“ 200ミリ以上 ” がオススメです

■ コンパクトライン

天井の折り上げ高さを最小限に抑えたい場合は、 『 コンパクトライン 』 がおすすめ。小さい器具なので、 「 わずかな隙間に設置が可能 」 です。また、発光面の見た目が美しいので、タイルへの 「 映り込みもきれい 」 に仕上がります。ただし、まくちゃんと比べて明るさは控えめなので、広い空間で使用する場合は、ダウンライト等で明るさを補う必要があります。

04. 『 光沢のあるタイル 』 をダウンライトで演出する

ダウンライトでの演出においても、 『 光沢のあるタイル 』 では、 「 発光面の映り込み 」 に注意が必要です。 通常の 「 拡散光タイプ 」 で照射した場合は「 発光面の映り込み 」 が発生します。そこで、「 映り込みを抑える 」 と言えば 『 グレアレスダウンライト 』 。器具自体の存在と映り込みを抑えることで、タイル壁自体が際立ち、高級感のある雰囲気を演出できます。

今回は ‟ 幅600mm ” のタイルに合わせて器具を ‟ 600mmピッチ ” で設置しました。「 タイル芯 」と「 壁にかかる光の山 」 を揃えるためです。タイル芯と器具の位置がズレると、光の山もズレてしまうため、タイルの割付と同時にダウンライトの位置も検討下さい。

  • ■ グレアレスダウンライト ・ 集光タイプ

    壁からの距離150mm
    取付ピッチ600mm

  • ■ ダウンライト ・ 拡散タイプ

    壁からの距離250mm
    取付ピッチ600mm

今回、「 タイルの特徴に合わせた照明術 」 をご紹介しました。新カタログにはこの他に 「 家具を演出する光 」
「 棚を演出する光 」 なども掲載しています。ぜひ照明計画の参考にしてみてください!

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