Pro's way

住宅照明のヒミツ

41

2024.06

安部 真由美

Interview

丸径七拾五 φ LXXV φ 75( L=50 X=10 V=5 )φ 75 への進化  安部 真由美

Mayumi Abe
住宅デザイン部 大阪オフィス

自然選択で【 進化 】を説いたダーウィン先生。

遺伝子の突然変異によって『 首の長いキリン 』がうまれると、
『 首の短いキリン 』との間に “ ある競争 ” が生じます。

『 首の長いキリン 』は、高い枝の葉を食べることができるので、
より多くの栄養を得て、より多くの子孫を残す可能性が増えていく。

“ 首が長い ” ということは、
キリンが生き抜くために有利な形質なのです。

このように、有利な形質をもつ個体が残ることを
《 自然( 方向性 )選択 》と言います。
ダーウィン 先生は、自然選択よって、
生物が【 進化 】することを発見しました。

チャールズ・ダーウィン イギリスの科学者

ダウンライトもLEDの普及によって
【 進化 】しました

LED 光源の特性を活かし、白熱灯や蛍光灯では実現できなかった
コンパクトな器具設計が可能となり【 小径 】と呼ばれる
Φ75Φ50 のタイプが登場しました。
さらに、色温度や配光角度などの《 光の質 》に対する “ 選択肢 ”
広がったため『 求められる照明空間 』に合わせた器具の選定や、
よりきめ細やかな配灯計画が必要とされています。

今回は、進化するダウンライトの【 小径 】に注目です。
多様化するダウンライトに合わせて、
《 配灯計画も進化 》させていきましょう!

小径ダウンライトの豊富なバリエーション

存在感を感じさせない コンパクト な ダウンライト。
多彩なラインナップ で様々な シチュエーション に対応できます。

ソフトグレア 拡散タイプ ユニバーサル
グレアレス グレアレスユニバーサル 角 拡散タイプ

Q.小さいと何がいいの?

A.天井の「 余白 」が増え、より整理ができます。

器具径をΦ100 からΦ75 にすると、表面積は 約 60% になります。

表面積が小さくなると、天井面積の中で《 照明器具が占める割合が減る = 天井の余白が増える 》
大きな空間でダウンライトの数が増えるとΦ100との違いがはっきりと分かります。

18 畳 ( 3640 mm × 8190 mm ) の空間で比較

拡散タイプ

Φ100 は器具径が大きいため、天井面の器具の存在がやや目立ちます

拡散タイプ

Φ75 は器具の存在感が小さくなり 天井面がスッキリ見える

Φ100 ダウンライトとΦ75 ダウンライトの明るさを比較するとデータ上はほぼ同等。
器具径が小さくなったから「 暗い 」「 壁に光が届かない 」ということはありません。

主照明として【 小径 】のダウンライトを利用するメリットがあることが分かりました。
けれど一口に【 小径 】といっても、配光や器具の形状によって特性が異なりますので、
違いを理解して配灯計画に活かしましょう。ここでは《 特徴的な3種類 》をご紹介します。

小径ダウンライトの比較

01.拡散タイプ DDL- 5599 YW 白熱灯 100 W 相当

「 床・壁・天井を明るくできる 」

配灯次第で 床・壁・天井 に均一に光を回すことができます。一方で カットオフアングル15°と浅く、発光面が見えやすいので眩しさを感じやすくなります。

02.グレアレスタイプ DDL- 5478 YWG ダイクロハロゲン 65 W 相当

「 床を明るくできる 」

鏡面仕上げの反射板と カットオフアングル35°に設計し、眩しさを抑えています。集光しているので光の広がりは期待できず、床面のみが明るくなります。

03.ソフトグレアタイプ DDL- 5531 YWG 白熱灯 100 W 相当

「 床・天井を明るくできる 」

曲面のコーンが光を柔らかく広げ、天井にも視覚的な明るさ感をつくります。カットオフアングル40°に設定され、眩しさは抑えられています。

カットオフアングルとは?

照明器具の水平線に対して器具の光源が見えなくなる角度のこと。カットオフアングルが大きいほど器具に近づいても光源が見えにくくなるので、眩しさが抑えられ、目に優しい照明環境をつくりだせます。

01. 拡散ダウンライト

天井・壁・床 に光が広がり、少ない台数で空間を明るくすることに長けています。
天井面に照明のつかない『 余白 』を増やすことで洗練された天井をつくります。
発光面が見えやすく、点灯感を感じやすいため、
主照明として使う場合は 2 台以上をまとめて配灯する《 集中配灯 》がおすすめです。

拡散タイプ

DDL- 5599 YW

白熱灯 100 W 相当

60°
  • 使用器具:DDL- 5599 YW 3灯×4 で配灯
  • 空間:18畳 ( 3640 mm × 8190 mm )

集中配灯とは

天井の “ 芯 ” を見極めて ダウンライト をまとめ
て配灯する手法を 《 集中配灯 》 といいます。
バラバラに配置された ダウンライト を整理する
ことで、天井面に美しい形で配置され、手元の
作業に必要な明るさも十分に確保されます。

集中配灯 家具に合わせたバラバラな配灯

拡散ダウンライトの光の広がり方

拡散タイプは壁から 1800 mm 離しても
光が広がります。
つまり集中配灯に最適なダウンライト
ということ。
間口 3640 mm の空間であれば、
ダウンライトは、天井芯に集めて配灯しても
空間全体の明るさを 十分確保できます。

使用器具:DDL- 5599 YW 空間照度分布

《 配光データ 》を使ってダウンライトの【 配灯ピッチ 】を設定する

配光データからは、
『 照度角 』
『 直下照度 』
『 照度角のピッチ径 』などが分かります。

『 照度角 』は、
直下照度の 1/2 の照度 になる、
配光の開き角度 のことです。

配灯する際には、
「 照度角のピッチ径 」の数値内で、
「 器具のピッチを設定 」すれば、
“ 明暗差を少なくする ” ことができます。

Φ75 拡散ダウンライト
DDL- 5599 YW 配光データ

図の左半分は 1/2 照度角と直下照度
右半分は 水平面照度曲線 を表しています。

1.6 m 直下照度 [ 136 lx ]
1.6 m 直下( 136 lx )の半分の明るさ [ 68 lx ]

《 CH = 2.4 m の空間 》で、作業面 [ H = 0.8 m ] を均一な明るさに計画したいとき、
ダウンライトから作業面の距離は [ 2.4 - 0.8 = 1.6 m ]
配光データから 1.6 m 下の 照度角のピッチ径 は約 [ Φ 2 m ] ということが読み取れます。
つまり「 ダウンライトを 2 m 以内のピッチで配灯すれば、作業面を均一な明るさにすることができる 」
ということになるのです。

02. グレアレスダウンライト

配光が狭いダウンライトで計画する場合は《 分散配灯 》で安心感のある計画に。
鏡面仕上げの反射板は “ 点灯感 ” がなく、
「 低重心の光 」が落ち着いた雰囲気がつくります。

グレアレスタイプ

DDL- 5478 YWG

ダイクロハロゲン65 W相当

30°
  • 使用器具:DDL- 5478 YWG 15 灯 で配灯
  • 空間:18 畳 ( 3640 mm × 8190 mm )

集光した光を活かした 陰影のある 計画

  • 使用器具:DDL- 5478 YWG

集光タイプで《 集中配灯 》の計画を
すると、部屋の中心に光が集中します。
明暗の差が大きく、
緊張感のある印象になります。

実際の光を体感すると、家具が
“ スポットライト ” を浴びているような
ドラマチックな空間でした。

ただし、これを「 ドラマチック 」
と見るのか、「 暗い 」と見るのかには
“ 個人差 ” があります。
空間イメージをしっかりと理解して
配灯計画を行いましょう。

03. ソフトグレアダウンライト

やや配光が狭いため、ダウンライトのみで計画する場合は、
壁の明るさも考慮して《 分散配灯 》がおすすめです。
眩しさに配慮し、ほどよく広がる光が優しい雰囲気をつくります。

ソフトグレアタイプ

DDL- 5531 YWG

白熱灯 100 W 相当

45°
  • 使用器具:DDL- 5531YWG 16 灯 で配灯
  • 空間:18 畳 ( 3640 mm × 8190 mm )

“ 人の位置よりも後ろ ” にダウンライトを配灯すると、机上には “ 頭の影 ” が出ます。
写真のようなダイニングテーブルの位置で《 分散配灯 》をすると、テーブル上から
ダウンライトが外れてしまいますが、2列配灯にしたことで両サイドから光が当たり、
「 頭の影は相殺 」されていきます。

カタログ用のセット撮影で検証しました。
家具に触れないよう注意しながら、
プルプルと “ 空気椅子 ” の状態で影を撮影。

人よりも前に照明があるため頭の影がテーブル面に落ちにくい

ダイニングテーブルの真上にはダウンライトがありませんが、両サイドからの光で頭の影は相殺されてほとんど気になりません

拡散ダウンライト 《 集中配灯 》 ソフトグレアダウンライト 《 分散配灯 》

実は、今回の原稿を書くにあたり【 進化のこと 】について、
師匠の 『 タカキヒデトシ56 』 にアドバイスを求めました。
すると師匠が・・・。

「 ポケモン が進化するときって、濁点が多くなる傾向があってさぁ、たとえば、
ヒトカゲ っていうポケモンは、進化すると “ 濁音 ” が 1 つから 2 つに増えて、
リザード っていう名前に変わるんだよねぇ・・・ 安部ちゃん知ってた? 」

へ?なに?なに?それ? 何の話? 師匠・・・ 私、その話についていけません!

トントン って扉を叩くよりも ドンドン って扉を叩いた方が、
“ 強い打撃音 ” が出てるような気がするでしょ。 そんな感じかなぁ 」

「 だから、ぼくの名前が『 ダガギビデドジ 』に変化したときには、
人類史上最強の【 濁点系進化 】だと “ 連想 ” してみるとわかると思うよ 」

師匠・・・ やっぱり私、その話についていけません!

タカキヒデトシ  [ Lv. 1 ] 進化➡ ダガギビデドジ  [ Lv. 7 ]

ダーウィン 先生は、自然選択には《 生物を 進化 させる力がある 》と考えました。

キリンは、首を長くして高い枝に届くようになった。
人は、二足歩行で両手が自由に使えるようになった。

ダーウィン 先生 以前の考えでは 【 進化 】「 進歩 」とみられていました。
「 進歩 」というと不可逆的な反応のように思えますが、先生 のように、
自然環境に適応した生物の変化を【 進化 】とするなら、私たち人間が、
四足歩行に【 進化 】するときが来るかもしれません。 だとしたら、

ダウンライトも将来は
超巨大化 するかも ??!

東京オフィス / Level 濁点進化系 / Level
イマイミタクヤ [ Lv. 1 ] イマイダグ[ Lv. 3 ]
フルカワアイコ [ Lv. 0 ] ワアイ [ Lv. 3 ]
タナカユキエ [ Lv. 0 ] [ Lv. 3 ]
ヤマウチシオリ [ Lv. 0 ] ヤマウヂジオリ [ Lv. 2 ]
大阪オフィス / Level 濁点進化系 / Level
ハナイカヒコ [ Lv. 1 ] ナイビゴ [ Lv. 5 ]
トミワマサヨ [ Lv. 0 ] ミワマ[ Lv. 2 ]
イサヤカ [ Lv. 1 ] [ Lv. 3 ]
マユミ [ Lv. 1 ] マユミ [ Lv. 1 ]

こうしてみると、師匠の [ Lv. 7 ] は、本当に、人類史上最強のような気がしてきました。