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2020.06
土井さやか & 富和聖代
Interview
天井の構造としつらえを活かす照明テクニック
case 1《 板貼り 》
Sayaka Doi
Masayo Tomiwa
住宅デザイン部 大阪オフィス
この春、大光電機が発刊した住宅・店舗用照明カタログ【D. LIGHTING STYLE】は、もうご覧いただけましたでしょうか?まだお手元に届いていないようでしたら、担当営業までお申し付けくださいね。また、デジタルカタログは、このサイトでいつでもご覧いただけますので、ぜひご確認ください。
この新カタログの中で、私たち住宅デザイン部の「土井」と「富和」が巻頭の【LIGHTING IDEA】を担当し、天井を活かす“5つの照明アイデア”をご紹介しています。そしてこの《Pro’s Way》では、二回にわたって、カタログでは掲載できなかったすべての詳細を「語りつくしたい!」と思います。
普段、コーディネーターさんや設計士さんからプラン依頼や相談をいただくのですが、その内容がどんどん “高度”になってきていて、事例写真がないとなかなか伝わらないことも多く「なんとかしたいなぁ」と思っていたんです。
そんな時に、この企画を任されることになり、天井の構造やしつらえに合わせたプランについて「特集しよう!」と、二人で勝手に盛りあがり「決・め・た」というわけです。
まず今回は「土井」が担当したcase1《板貼り》について、紹介していきます。
天井スリットに収めた2種類のダウンライトで家族の暮らしをシーンに応じて多彩に演出
高級イメージのお宅などで[dark 暗い]色味の“板貼り天井”のプランが多く見られるようになってきました。天井全体が[lightness 明度]と[saturation 彩度]のどちらも低く抑えた[tone 色調]のため、照度(明るさ)が不足しないよう十分気をつける必要があります。高級イメージで仕上げようと“間接照明”を中心にプランをしても、どうしても照度が足りない。それを補おうとダウンライトを追加すると、せっかくの板貼り天井が穴だらけになり、たちまち高級感がなくなってしまう・・・。
と、いうことで、今回「25畳の広いLDK」に思い切ったプランをしてみました!
板貼り天井に“2列のスリット”を入れたんですよね。
150mm幅の“黒スリット”を板貼り天井の「切り返し」になるようにしつらえ、高さは板の厚み分の15mmとできるだけ抑え、目立たせないように工夫しています。そのスリットにグレアレスダウンライト2灯と、明るさを確保する一般的なダウンライト2灯を1セットにし、全部で“40灯”の器具を入れました。“40”という数字に驚かれると思いますが、切り返しの黒スリットに沿って「黒枠」の器具を配置したこと、グレアレスダウンライトの[stealth 隠密]性(光っていることがほとんどわからない)という特性を活かしたことでとてもスッキリと仕上げることができました。
a.
よくばりダウンライト
DDL-4809FBG
b.
グレアレスダウンライト
DDL-4914YBG
c.
シングルライン温調タイプ
DSY-4938FWG
スリット高さの違いによる見え方の比較
今回の計画では、スリットの側面に光がかかることを避ける計画としました。
-
スリットが深い
灯具は目立たないが、スリットの側面にかかる光が目立つ。
-
スリットが浅い
灯具は見えるが、スリットの側面に光はかかりにくい。
「高級感を演出できるから、グレアレスダウンライトを使いたい」という“意向”をいただくことが多くなっていますよね。
そうそう。確かにグレアレスダウンライトは、空間に明るさのメリハリをつくることができて、とてもよい雰囲気に仕上がります。けれども、そのメリハリが「作業するには物足りない」という失敗も起こしがちなので、今回は“2種類のダウンライト”を使って“明るさと雰囲気”を両立させるプランにしてみたんです。
スリットのセンターに、明るさを確保する拡散光タイプのダウンライト2灯、その両側に集光タイプのグレアレスダウンライトで挟み込む。という配置ですね。
グレアレスは「光が広がらず直下が明るくなる」ので、集中しすぎるのはよくない。だから、天井全体に均一に入れることにしました。こうして、明るさを確保するダウンライトと組み合わせることで、空間全体の照度も十分にとることができました。
ダウンライトは「電球色/温白色/昼白色」の“3種類の光色(色温度)”が簡単に切り替えられる《よくばりシリーズ》を使ったんですよね?
そうです。そうです。この場合、空間演出のグレアレスダウンライトは常時点灯して《よくばりダウンライト》はシーンごとに“光色を切り替えて”いただきたいんです。普段の生活は「温白色」でオッケーなのですが、特に今だと「在宅ワーク」や「ダイニングで仕事」をする方も多くなりました。なので光色の切り替えは、日中の外光がある時間帯で作業を行う方には「昼白色」がおススメ。そして夜の食事の時などには「電球色」が超おススメです。
今や住宅照明でも、光色の切り替えは当たり前に使われるようになりましたね。
よくばりダウンライトだけを点灯し、色温度を比較してみました。
-
3500K
温白色
生活シーンを選ばない、普段使いに最適なあかり。
-
5000K
昼白色
白い紙を白く見せる光色で、仕事や勉強、作業に適したあかり。
-
2700K
電球色
食事や団らんに適した暖かいあかり。
- NEW ◎「よくばりシリーズ」がいっそう便利になりました!
- 消灯した時の色温度を記憶して、次回点灯時には、その色温度で点灯します。
- 特許 ◎高い技術力が自慢です!
- 色温度切替時に、光色をずれにくくする高精度システム技術で特許を取得しています。
こうして比較検証すると“光色(色温度)切り替え”の大切さがよく伝わるんじゃないでしょうか。夕食後の「くつろぎタイム」には、グレアレスと間接照明だけにするのもいいですね。
拡散光タイプのダウンライトを消してグレアレスダウンライトだけにすると、光の重心がいちだんと低くなって素敵です。その雰囲気を壊さないよう、キッチン壁面の間接照明も天井からのコーニスではなく、あえてアッパーの光に。そして足元にも間接光を添えてみました。部屋の隅のスタンドライトも、いっそう光の重心を下げて素敵な雰囲気を増幅させてくれます。
■グレアレスDL+間接照明を点灯
くつろぎの時間帯はグレアレスダウンライトと
間接照明で落ち着いた雰囲気に
本当に、いい雰囲気、いい空間が演出できましたね。こんなプランなら、お施主さまも設計士さんも満足していただけると思います。
ダークな色調の板貼り天井で“上品で粋なさま”という意味合いの「シンプルシック」な空間に仕上げたい時には、ぜひこんなプランも検討してみてくださいね。
次回は「富和」が担当した《空中梁》のプランについてお話ししたいと思います。 どうぞ、お楽しみに〜!