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2019.09
花井架津彦
Interview
- Kazuhiko Hanai = Niwa no Ki-Taro
- 住宅デザイン部 大阪オフィス
まずはご出版おめでとうございます。今のお気持ちは?
やっと終わった~!というのが正直なところですね。構想から足掛け2年半。ほんとに大変でした。セミナー用のドキュメントをまとめたり、カタログ制作を担当したりの経験があったので、大丈夫だろうと思っていたんですが、甘かったですね。でもでき上がってみると、親や家族がとても喜んでくれましたし、しみじみとうれしい気持ちがこみあげて来ています。応援してくださったみなさん、本の出版会社(株)エクスナレッジの関係者の方々を始め、これまでお世話になった設計士さんやお施主様、そして、原稿チェックなどを手伝ってくれた師匠の高木さんやチームメンバー、すべての方に感謝ですね。これまでの自分の仕事の集大成として、渾身の一冊ができて、本当にホッとしています。
では、本の概要についてご紹介ください。
“庭の樹太郎”と呼ばれているので、庭の照明計画の本だと思われがちですが、実はそうではなくて、居室から庭まで内と外をトータルに演出し、住宅建築に付加価値を与えることを考えた住宅照明のノウハウ本なんです。事例をたくさん掲載しているので、戸建て住宅の設計士さんはもちろん、インテリアコーディネーターさんの日々のプランにもお役に立つと思います。
本のサイズはB5判で、全136ページ。5つの章で構成されています。
第一章、第二章は「外構」と「庭」がテーマ。美しい街並みを実現するための具体的な照明の考え方から、家の中から見るきれいな庭を演出するためのノウハウを掲載しています。
第三章のテーマは「映り込み」。夜、室内から外を見ても、窓に室内が映り込んで景色を楽しむことはできません。そこで室内側を調光して薄明かりにすると、鏡のようだったガラス窓が透明になり、外の景色が美しく見えるようになる瞬間が訪れます。このベストバランスのための照明器具や部屋の設え、インテリアの選び方をご紹介しています。
次の第四章「居室」では、美しい照明計画の基本から部屋別のポイントまでを網羅。最後の第五章では、美しい空間にかかせない「間接照明」のノウハウをまとめました。
ちょっと欲張りすぎましたかね?(笑) でも、大きな事例写真を多用して解説しているので、ペラペラと気軽に見ていただけると思います。
“庭の樹太郎”として、こだわったポイントを教えてください。
一番は、「現場で生まれた」ものにしたかったということです。机上論でなく、照明デザイナーが実際にプランして成功した事例をご紹介して、住まいを考えるうえで比較的優先順位の低い、照明、外構、造園の重要性を伝えたかった。これに尽きますね。照明デザインの本でいえば、外構や造園にまで踏み込んだ本はあまり前例がないと思いますし、造園系のプラン本では、スケッチはあっても実例写真を多用したものは珍しいと思います。
自分自身、自宅を建築するときに庭と借景にこだわって設計し、とても満足のいく家づくりをすることができたので、1人でも多くの方にこの喜びを知っていただきたいという想いがあります。住まう方の満足感、家の付加価値の創出、美しい街並みへの寄与と、その価値はとても大きなものですから。照明というと、「明るさは善、暗さは悪」が常識のように思われていますが、夜の景色を楽しむために、「暗い照明の意義」も、見直していただけるとうれしいですね。
あと、とにかく役立つ本にしたいという想いから、「庭木のライティング図鑑」というコーナーで、トレンドの庭木4種類を取り上げ、樹種の特性にあったライティングテクニックを解説しています。これはすぐに取り入れていただけるノウハウだと思いますので、ぜひチェックしてみてください。
設計士さん、インテリアコーディネーターさんへメッセージをお願いします。
庭や外構のプランは、後回しになることが多いと思いますが、本来はセットで設計すべきもの。それによって開口部の位置やデザインも変わってきます。お施主様への早い段階でのプレゼンが必須ですが、そういう時にもこの本の写真をご活用いただければと思います。全国の主要書店においていただいていますし、ネット書店でもすぐ検索できると思います。もっと知りたいというご要望があれば、セミナーもさせていただきますので、お気軽にご連絡ください。
花井架津彦 著
「庭と住まいの照明手帖」
発行:エクスナレッジ
定価:本体2,000円+税
全国の主要書店、ネット書店で、絶賛発売中!
ぜひ、お手に取ってご覧ください。