Pro's way

住宅照明のヒミツ

15

2019.07

照明⼠ 今泉のお宅探訪

今泉卓也

Interview

これぞプロの技!をご紹介。
「照明⼠ 今泉のお宅探訪」スタートします!

今泉卓也のお宅探訪
Takuya Imaizumi
住宅デザイン部 東京オフィス

Season1-1

お邪魔します!
マンションリノベ見てある記

こんにちは、今泉卓也です。このPro’s Wayのコーナーでは毎回、住宅照明デザイナーのプロの技をご紹介していますが、新しい企画として、DAIKO社員の自宅の照明プランをレポートしたいと思います。題して「今泉卓也のおたく探訪」。プロ中のプロである当社の社員が自らのノウハウを結集してプランした自宅の照明に、今泉目線で鋭く斬り込んでいきます。みなさんからの評判がよければ、私のライフワークにしたいと思いますので、末永く、どうぞよろしくお願いいたします。
記念すべき1軒目ですが、仲間に自宅取材を申し込んだところ、「まずは自分の家だろ」と言われてしまったので、素直な私は、自分の家をレポートしたいと思います。

都心のマンションに、妻と小学生の息子1人の3人暮らし。2015年6月に、築45年のマンションをフルリノベしました。

Before

After

一番の見どころは、間接照明をメインにしたLDKの空間です。
長手側の壁一面にコーブ照明を入れました。全長3700mmに、「まくちゃん」1200mmを2本と900mmを1本使用。それから、ダイニングテーブル上にはダクトレールを配し、ペンダントをつけました。ダクトレールにしたのは、テーブルの大きさや照明器具を替えることになったときにも、フレキシブルに対応できるよう考えたためです。このレール位置は家具の配置をシミュレーションして、シビアに決めました。

間接照明をメインにした場合、明るさの心配をされることが多いですが、私は1つの計算式で試算するようにしています。[使用器具のトータルlm]÷[畳数]÷[3]という計算式です。[3]というのは、光が床に届くと1/3くらいに減光されると仮定した数字で、業界では[4]という人もいますが、私は[3]で大丈夫だと考えています。このLDKの場合、8,360lm÷10帖÷3=279lmです。あれ?私のセミナーを受けてくださった方はお気づきかと思いますが、「この計算式で400lm以上を目指しましょう」とお伝えしているのに、結果は279でした。(汗) 言い訳ですが、自宅をリノベした時には、この計算式はまだできてなかったんですよね。けれど、次の写真をご覧ください。このコーブ照明1本で、読書もばっちりでき、まったく問題ありません。

検証

間接照明は読書に最適!

ダウンライトの下で本を読むと、自分の頭の影になったり(写真左)、寝転ぶと逆光で暗かったり(写真右)、とても読みにくいのがわかります。

間接照明だと、光源に背を向けても影になりにくく、

寝転んでも、ちゃんと読めます。

今泉の結論

読書好きは、間接照明を選ぶべし!

そして、間接照明に調光はマストですので、照度に合わせて色温度が変化する「温調」を採用しました。

温調
段調

「温調」をおすすめすると、「そんなムーディーな雰囲気はいらないから」とおっしゃる方がいるのですが、演出のためだけじゃないんですよ。食後、少し照度を落とし温かな色にすることで、身体も脳もリラックスできて、寝つきがよくなります。我が家の子供の寝つきがよいのは、温調の間接照明のおかげだと思うんです。寝室でも調光して本を読みはじめるとすぐに寝ちゃいますから、親としてはとても楽です。(笑) それから、寝る前には「温調」を最もしぼった状態で消灯します。夜中にトイレに起きた時に点灯しても、明るすぎなくて良いんです。当然のことながら、トイレにも、明るさを切替えできる「段調」のダウンライトを入れています。夜中にトイレの照明が明るいと、イラっとしませんか? 私はします。(キッパリ!) 「段調」ならコストも安上がりで、とっても便利です。

最後に、コーブ照明のおそうじについて、レポートします。器具を乗せるアゴの部分、「おそうじが大変でしょ?」とよく聞かれるので、我が家で実験してみることにしました。妻には「おそうじしないでね」と言っておいたのですが、1年半ほどたった年末、ついに「そろそろ掃除してください」と言われたので、撮影を兼ねて掃除をしました。

1年半分の汚れ

すさまじい量のホコリが溜まっていないかと恐れていたのですが、意外と酷くはなかったのです。全体にうっすらとホコリがのっているものの1年半放置しておいてこんなものかと拍子抜けしました。ただ、キッチンの上なので油汚れも伴い、乾拭きだけではキレイになりません。まずは家庭用洗剤を薄めて水拭きしてみました。

水拭き後は、クロスも含めとてもキレイな状態に。しかし、とれたホコリがぽろぽろと垢のように落ちています…。この“ぽろぽろ”をどうにかしなければ!

拭き掃除後

開口が200あるので、掃除機が入ります。
掃除機で、ぽろぽろを吸えば、はいお終い。
特に「まくちゃん」は、形がシンプルなので、お掃除が楽でしたね。
1年半溜め込んだので洗剤が必要でしたが、2~3か月に1回くらいの掃除であれば、乾拭きだけでも十分な気がします。間接照明は思ったほど汚れないし、お掃除もわりとカンタンということが実証できました。

掃除機をかける

掃除機が入ると楽々

では2軒目、TACT大阪の敏腕デザイナー安東くんのお宅をレポートします。
彼の自宅は、神戸の高台に建つマンション。神戸の街から海までを見渡せるすばらしいロケーションです。1000万ドルとも言われる神戸の夜景もバッチリ!
この夜景が、なんと部屋の中からもキレイに見えます。むむむ、、、これは照明にヒミツありと見ました。

早速、照明を検証してみましょう。15.2帖のリビングダイニングには、OSB合板むき出しの天井に、3本のダクトレールが並行に取り付けられ、集光のスポットライトが3台、壁を照らすミニペンダント4本、そしてダイニングテーブルの上に高さ違いのペンダントがついています。あ、ちなみにこのペンダントやスポットライトは、安東くんのデザインです。

部屋全体を照らす器具がついていないので、窓への映り込みもなく、キレイな夜景が見えていたんですね。けれど、ペンダントの吊り高を低めにしたり、乳白や透明ガラスのペンダントをうまく使うことでしっかりと照度がとれ、メリハリのある洗練されたおしゃれな空間に仕上がっています。複数の器具をコントロールするために、調光器のフェーダーとパワーボックスを備えていました。いやぁ、これは流石としかいえませんね。なぜダクトレールをメインにしたか聞いてみたところ、今後も自分の作品や気になる照明器具をいろいろと試せるように、という答えが返ってきました。自宅を実験室にしたというわけですか。プロ根性をまざまざと見せつけられました。

3ch手動フェーダー
LZA-92773

本体:鋼板 白塗装
巾162 高120 埋込穴123×72
埋込深60 出21㎜ 0.5kg

ON/OFFスイッチ
●ON時はLED(赤色)が点灯します。
シーンスイッチ
手動モードに切り替える時やシーンを呼び出す時に使用します。
●手動モード時はfreeのLED(緑色)が点灯します。
●シーンモード時はpresetのLED(オレンジ色)が点灯します。
マスターフェーダー
全チャンネルを同時に明るさ変更する時に使用します。
シングルフェーダー(※)
各チャンネルの明るさ変更やフェードタイム変更に使用します。

(※)のシングルフェーダー数はタイプにより異なります。〔3ch用:3個 6ch用:6個 8ch用:8個〕

最後に、安東家のとっておきの技を1つご紹介しましょう。

右の壁に光る絵画があります。家族みんなで描いた作品を照らしていたのは、光をトリミングして作品だけを照らすことができる「ミュージアムスポット(Artio:アルティオ)」という器具です。美術館などではおなじみの器具ですが、一般家庭でもこんな使い方ができるんですね。勉強になりました。

Q+ 4000K Ra96
LZS-92645NWV

この安東家の事例は、新製品発表会「DAIKO ADVANCE STAGE 2019」の“家元劇場”でも詳しくご紹介しています。東京は残念ながらすでに終了してしまいましたが、大阪は7/25・26の開催ですので、ぜひ会場でご覧ください。

「今泉卓也のお宅探訪」第一回は、いかがでしたでしょうか? まだまだたくさんのレポートを用意していますので、また数か月後にお会いしたいと思います。