ZERO 重耐塩仕様標準装備

重耐塩仕様について

「ZERO」カタログ掲載の屋外用照明器具は、一般社団法人 日本照明工業会 ガイド117:2010「照明器具及び照明用ポールの耐塩害に関するガイド」の重耐塩に準拠した仕様となっております。
海に隣接した特殊な環境(耐塩害レベル[重耐塩]の地域)でも安心してお使いいただけます。

一般社団法人 日本照明工業会 ガイド117:2010「照明器具及び照明用ポールの耐塩害に関するガイド」(抜粋)

1. 目的

近年、港湾施設の整備や海浜公園の拡大などに伴い、塩害が予想される海岸付近に設置される照明施設が増大している。これら塩害が予想される地域に設置される照明器具、照明用ポール(照明用ポールには「アーム」も含む。以下同様)について十分な対策を示す指針がなく、塩害による腐食に起因するトラブルが増加し、一般的な防錆対策以上の表面処理、材料指定などが必要となってきた。

2. 適用範囲

照明器具、照明用ポールの防食は、重工業地帯での腐食性ガス、冬季に使用される融雪剤、及び凍結防止剤などについても十分な検討が必要であるが、このガイドでは海岸地域の耐塩害についてだけ考慮する。

3. 耐塩害レベル

耐塩害レベルは次の2段階とする。

…当社の重耐塩仕様・表面処理

a)重耐塩:常時、飛来塩分が高濃度の地域に求められるレベル
(目安:海岸より0~200m程度の範囲)

海塩粒子が飛んで来る距離 重耐塩仕様を要求される200m以内

b)耐塩:常時、飛来塩分があり、気象条件により高濃度になることのある地域に求められるレベル
(目安:海岸より200m~20km程度の範囲)

それぞれのレベルを適用する地域は、海岸からの距離で単純に線引きできるものではない。飛来塩分は海岸線の状況(外海、内海、港湾、砂浜など)、海抜高さなどにより複雑に影響を受けるため、地域特性によりレベルを判断せざるを得ない。既存の周辺諸設備の発錆状況などを考慮して、受け渡し当事者間で協議、決定することを推奨する。

地域区分 飛来塩分量が鋼の腐食に
影響を与えると考えられる地域
日本海沿岸部Ⅰ 沿岸から20km以内
日本海沿岸部Ⅱ 沿岸から 5km以内
太平洋沿岸部 沿岸から 2km以内
瀬戸内海沿岸部 沿岸から 1km以内
沖縄 全地域

公社)日本道路協会「道路橋示方書・同解説」(平成14年3月)より

4. 使用材料と表面処理

  1. 使用する照明器具、照明用ポールの材料に対する表面処理は、表1に示す塗料の特性を考慮して適切なものを選定する。
  2. 塩害を受けると予想される地域に使用する照明器具、照明用ポールの材料及びその表面処理は、設置される地域の塩害レベルにより表2、表3から選定する。
  3. 表2、表3に示す上塗り塗料は、密閉タイプの照明器具については外郭用、照明用ポールについては外面用の塗装に用いる。
  4. 上塗り塗料の特性を生かすには下地処理の影響が大きく、表2及び表3に示す塗料の耐塩害レベルに対応した特性を得るには、その塗料に適した下地処理を施すことが必要である。
  5. 表1に示した塗料については、膜厚及び塗り回数により耐塩害レベルに大きく影響する場合がある。表2及び表3に素材別に推奨する塗装仕様を記載したが、実使用環境下で要求される耐塩害レベルに合わせて当事者間で決定することが望ましい。

5. 施工及び維持管理方法について

  1. 海に隣接した地域で、高架下などの雨水のかからない場所に設置される場合は、付着した塩水飛沫が雨水により洗い流されないため、腐食が促進されることがある。定期的な清掃により塩分の洗い流し作業を実施する。
  2. 照明用ポールの地際部は腐食しやすいため、基礎を地表に必ず出し、勾配をつけるなど水切り対策を施すことが望ましい。
  3. 輸送、施工又は使用中についたキズは速やかに補修塗装を実施する。
  4. 照明用ポール基礎のコンクリート骨材中に塩分が含まれていないよう配慮する。

6. その他塩害に対する留意点

  1. 開放タイプの照明器具では、塩分の付着によるソケット部などの絶縁低下に対する処置を考慮する。
  2. 密閉タイプの照明器具では、ランプ交換、清掃などメンテナンスの際に開閉する部分のパッキンの材質は、耐候性を考慮したものを選定する。
  3. 塩害地域で、かつ重工業地帯と重なる場所は、耐薬品性なども考慮する。
  4. 接合部に使用するボルト類は、溶融亜鉛めっきボルト又はSUS304以上のものを使用する。

表1 耐塩塗料特性表

…当社の重耐塩仕様・表面処理

塗料
記号
材料名 塗装
方法
照明
器具
ポール 耐塩性 白亜化 光沢
保持性
塗膜
硬度
コスト ポール
塗り替え年数
A アクリル樹脂系塗料 焼付 7~10年
B ポリウレタン樹脂系塗料 焼付 7~10年
常乾 7~10年
C ポリエステル樹脂系塗料 焼付 7~10年
D エポキシ変成メラミン樹脂系塗料 焼付
E フッ素樹脂系塗料 焼付 15~20年
常乾 15~20年
F アクリルシリコン樹脂系塗料 焼付 7~10年
常乾 7~10年
G フタル酸樹脂系塗料 常乾 3~5年

記号の意味は次の通り。●:適用可 ☆:特優 ◎:優 ○:良 △:可

  1. 光沢保持特性及び白亜化については防錆に加えて、見映えを重視する公園などに設置する場合に特に配慮する。(白亜化とは塗装面の光沢がなくなり、白土のような表面になる現象をいう。チョーキングともいう)
  2. 塗膜硬度は砂などが海からの風で絶えず吹き付けられる場所に設置する場合に考慮する。
  3. コストについては、塗装材料費だけでなく工程、設備の状況などにより影響を受けるため、目安としての表現とした。
  4. 一般的に焼付塗装された照明器具の場合、設置後に補修塗装されることは稀で、補修塗装が行われずに 耐用年数10年で使用終了することを前提としていることから、塗替年数はポールのみとした。(耐用年数とは、錆が発生しても機能上、安全上問題が無く使用できる期間をいう。)

表2 照明器具の材料及び表面処理

…当社の重耐塩仕様・表面処理

耐塩害
レベル
照明器具材料 表面処理
(表1の塗料記号)
備考
重耐塩 SUS304 A、B、C、E又はF 溶剤系塗料の場合は、2回焼付塗装を推奨とする。
アルミ合金 ADC、AC A、B、C、E又はF 溶剤系塗料の場合は、2回焼付塗装を推奨とする。
板・形材など A、B、C、E又はF 溶剤系塗料の場合は、2回焼付塗装を推奨とする。
鋼材 溶融亜鉛めっき後
A、B、C、E又はF
溶融亜鉛めっき より高い防錆性能を要求される場所には、
溶融亜鉛めっき後、塗装を推奨する。
耐塩 SUS304又はSUS430 A、B、C、D、E又はF
アルミ合金 ADC・AC A、B、C、E又はF
板・形材など A、B、C、D、E又はF
皮膜処理材 無塗装 アルマイト処理又は同等以上のコーティング。
鋼材 処理鋼材 A、B、C、D、E又はF 亜鉛めっき鋼鈑又は同等以上のコーティング。
鋼材 溶融亜鉛めっき後
A、B、C、D、E又はF
溶融亜鉛めっき より高い防錆性能を要求される場所には、
溶融亜鉛めっき後、塗装を推奨する。
鋼板 A、B、C、D、E又はF 溶剤系塗料の場合は、2回焼付塗装とする。

表3 照明用ポールの材料及び表面処理

…当社の重耐塩仕様・表面処理

耐塩害
レベル
ポール材料 表面処理
(表1の塗料記号)
備考
重耐塩 SUS316又はSUS304 A、B、C、E又はF より高い防錆性能を要求される場所には
SUS316を推奨する。
アルミ合金 A、B、C、E又はF
鋼材 a) 溶融亜鉛めっき後
A、B、C、E又はF
耐塩 SUS304 A、B、C、E又はF
アルミ合金 A、B、C、E又はF
鋼材 a) 溶融亜鉛めっき後
A、B、C、E、F又はG
溶融亜鉛めっき より高い防錆性能を要求される場所には
溶融亜鉛めっき後、塗装を推奨する。

注 a)  道路、広場などに設置されるテーパーポールの表面処理は、JIL 1001「照明用テーパーポール(鋼製)」による。