Pro's way

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2020.5.8

蓮華王院 国宝 三十三間堂

こんにちは。
福岡TACT(沖縄駐在)の高瀬です。

今回のレポートは、私が照明設計協力をさせて頂いた
【蓮華王院国宝三十三間堂】をご紹介します。

蓮華王院国宝三十三間堂は、平安後期、後白河上皇が院御所内に、当時権勢を誇った平清盛の資財協力によって創建したものでした。ところが、そのお堂は建長元年(1249)、火災により焼失し、鎌倉期・文永3年(1266)に再建されたのが現存のものです。当時は朱塗りの外装だったそうです。

本堂内部には廊下に囲まれた内陣があり、約1000体の観音様が並んでいて圧倒的な空間を体感できます。そして、この内陣の柱間数は"三十三”になるよう造られており、三十三という数は観音菩薩の三十三変化身(へんげしん)に準じたもので、このことから「三十三間堂」と呼ばれるようになりました。

今回照明をリニューアルするにあたり、3つのテーマで計画させていただきました。

1つ目は色・質感の表現にこだわった「Q+(キュープラス)」を使用しています。仏像本来の持つ色・質感を美しく、そして忠実に表現できるこの光源はまさに最適で、今まで見えなかった本当の色が現れています。

【リニューアル前】

【リニューアル後】

鎌倉時代につくられた日本最古のものとされる国宝・風神(雷神もいます)も、より立体的に、より躍動感を帯び、迫力のあるものになりました。

国宝・千手観音坐像も、「Q+(キュープラス)」によって、温雅な表情がより際立ち、荘厳な雰囲気を創り出すことができました。

2つ目にそれらの器具を新たに取り付ける際、柱などには一切ビスを使わず施工したということです。国宝である柱や壁に穴を開けるわけにはいかないので計画時にベースで置き型にしたり、バンド巻による取り付けなど色々工夫して施工していただきました。

3つ目は演出照明全体を「D-SAVE」でコントロールし空間演出をおこないました。4つのシーンで演出されており、通常時は昼光センサーとも連動し省エネにも貢献。

【通常時】

夜間は通路側の照度を落とし観音様がさらに引き立ってみることができます。

【夜間時】

三十三間堂には千手観音像がたくさんあり、現在の数は1001体、すべてご本尊です。
国宝の千手観音像、重要文化財の千体千手観音立像。千手観音像を眺めていると、「会いたい人の顔をした千手観音像」に出会えるそうですよ。

豊臣家が建立した太閤塀南大門、目の前には京都国立博物館など、見どころも沢山あります。

現在新型コロナウィルスの影響で拝観時間など変更されていますが、いつか通常に戻った際にはぜひ足を伸ばしてみてください。