Pro's way

19
2018.8.1

滋賀県 甲賀市庁舎

こんにちは。TACT大阪設計課の篠田です。
むちゃくちゃ暑い日が続いておりますが、皆様、体調はいかがでしょうか?
40℃を超えるような地域もありましたし、熱中症には十分気を付けていただきたいと思います。

さて、今回は2018年1月に滋賀県甲賀市に誕生した『甲賀市庁舎』を紹介させていただきます。
平成29年度の照明普及賞を受賞しました。

外観は、城下町、宿場町の歴史性と地域性を表現するため、落ち着いたモノトーン(白・黒)の色彩で構成されています。
地元の信楽焼き特注タイルを用いるなど、和の要素を取り入れたデザインとなっています。
甲賀といえば、戦乱の世を生き抜いた甲賀忍者が有名です。甲賀市らしい忍者をモチーフとしたサインや内装でわかり易く親しみのある庁舎となっています。

そのコンセプトに沿って、特注照明も手裏剣マキビシのデザインになりました。

手裏剣の形をモチーフにしたシーリングライト

□600埋込ベースライトのLED基板を使用。光ムラもなく側面もきれいに光っています。
シーリングライトと書きましたが、実際は電源装置部分だけを埋込みにした半埋込タイプ。LED基板を天井面近くに設計できたことがうまくいった要因かと思います。

手裏剣柄の埋込トリムレス

丸形のアクリルカバーだけが天井から出ているトリムレスタイプ。
アクリルカバーの内面に手裏剣形の乳半シートを貼り付けており、点灯するとその模様が浮かび上がる仕掛け。
側面の光ムラを解消するのに一苦労した一品です。

手裏剣形の間接照明

議場の間接照明も細長い手裏剣形となっています。とは言うものの、ここは特注照明ではなく、可動式間接照明(通称:ガンダム)を2列設置しました。
1列は光を遠くへ飛ばし、もう1列は光ムラを消す役目をしています。
ガンダムを使う場合はライティング調整が不可欠です。特に高天井の場合は足場の有る間にやっちゃってくださいね。

庇の梁を照明で演出

庇の梁の根元にスポットライトを仕込んで、マキビシのイメージをつくり出しています。1本の梁に1台ずつ設置し、きれいな影になるよう調整しました。

照明以外でも様々な場所で忍者関連のモチーフが展開されています。

手裏剣柄のカーペット

手裏剣形の特注ソファ

巻物調のトイレサイン

階段の階数表示

最後に、今回最も苦労した議場の壁面間接アッパーライトについて紹介します。
議場の壁面が波打ったような形状になっており、どう照らせばいいかということで相談を受けました。
まず最初に悩んだのは、どんな光源が適しているかということです。
拡散したやわらかい光がいいのか?、点光源がいいのか?、それとも集光タイプか?。
頭で悩んでもわかりません。現場から壁面の材料を送ってもらい、いろんな光源を当てて実験することにしました。

①拡散タイプ ⇒ 光が伸びない。

②点光源タイプ ⇒ 壁材が波打っているので光がきれいにでない。

③集光タイプ ⇒ すばらしい。

この実験通り、③の案でうまく納品できました。

市庁舎ということで、地域以外の人が行かれることは少ないかと思いますが、お近くに行かれた時は忍者を探しに寄られてみてはいかがでしょうか。

最後までお付き合い頂きありがとうございました。