■審査委員:講評
妹島和世 (建築家)

今回は色々な提案があり面白かったです。
最優秀案の権藤弘之さんの「明るい町のくらやみ灯」は、その中でも秀逸であったと思います。
スイッチを入れることにより、周りが明るくなり、その下に静かな時間を持てるくらやみを自分の周りに作り出すことができます。
実現性を危ぶむ意見もありましたが、審査員の1人であられる大光電機・前芝社長の全く同じではないが作れるであろうという声で、みんなが嬉しく選ぶことができました。
環境的なあかりの提案というのも興味深いものでしたが、それ以外に、器具の提案であるようでありながら、何か器具とあかりというように切り離せないような、器具と一体的な、あかりそのものの新しいあり方みたいなものを感じさせる提案が3つありました。
竹内円香さんの「風呂四季ペンダント」、青木拓人さんの「あかりの折り紙」、合屋統太さんの「中心/シェードなしのペンダント」です。
どれも魅力的だと思いました。残念なのは実物を見れなかったことですが、それで、最優秀になるのが遠のいたような、でも、イメージがより膨らんだような、微妙なところがあったように思います。