■ 審査委員長:講評
小堀 哲夫(建築家/小堀哲夫建築設計事務所/法政大学 教授)
今回掲げたテーマ「食卓のあかり」は、自身の経験や関心から立ち上がってきたものであり、誰もがそれぞれの暮らしの風景として思い描くことができる、開かれた題材だと考えた。
原初の火を囲む原風景から、土地ごとの文化に根ざした食卓の記憶まで、多層的なイメージが折り重なる場にこそ、このテーマの核がある。
審査では、器具のかたちやディテールにとどまらず、光の質・配光・スケール感・操作性を通して「食卓の時間そのものをどうデザインするか」を真正面から問いかける提案が多く見られた。
単なるプロダクトの巧拙を越え、人の住まいに向き合う姿勢や「本当に大事なことは何か」を探る視線を感じさせる案に、強く心を動かされた。
なかでもグランプリの「OKAERI Light」は、場所の機能や照明器具の役割を超えて、人と人があたたかい気持ちで向き合う関係性そのものをそっと照らし出す提案であり、建築も本来そのようでありたいと、建築家として深く共鳴した作品であった。