■ 審査員:講評
須部 恭浩(建築家 / 三菱地所設計)
このコンペは、模型製作を通じてアイデアを物質化し、審査の場で共有するという特異なプロセスを持ちます。その最優秀作品は、「水につけると明かりが灯る」という驚きに満ちたアイデアを、10cmほどの笹の葉に具現化したものでした。一見無機質な樹脂製の葉は、水を通じて命を宿し、蛍が葉にとまったかのような光景を創出しました。この仕掛けは、防災用のアクモキャンドルを応用した極めてシンプルな技術に過ぎません。
この作品は、あかりの美しさに加え、水によって光が灯るという非日常的で実験的な「行為」そのものが秀逸であり、さらに、この一枚の笹の葉を人々が囲み語り合う「風景」を想起させる点が印象的でした。 他の受賞作品もまた、それぞれの個性と力強さが際立つ素晴らしいものでした。受賞された皆様のさらなるご活躍を心より期待しております。 |