AKARI Style Project 02

四季を採り込む明かり

Talk about AKARI 造園家 荻野 寿也 × 大光電機TACT 花井 架津彦

照明が庭と室内を緩やかにつなぎ
四季の移ろいを暮らしの中に
効果的に採り込みます。

調光器を使用し、室内の照度を落とすことで、室内と庭がシームレスにつながり、庭の景色がより美しく引き立ちます。

風景が際立つ明かり。

風景の切り取り方には
「引き算の美学」が求められます。
やみくもに絵を飾っても
互いに主張し合ってしまうのと一緒で
すべてを見せようとするのは野暮です。
削ぎ落として、削ぎ落として
ここぞというところだけに
演出を加えるからこそ
美しさの本質が垣間見えるのです。

照度を上げれば、窓への映り込みが発生して庭の景色は見えづらくなりますが、室内での作業に必要な明るさを確保できます。
(ダイニングのペンダントは特注品です)

開口部を絞り、目線を自然に外へと誘導。内と外をシームレスにつなぐ庭屋一如のアプローチで、日中も四季折々の風景を存分に楽しめます。
「庭屋一如」とは……… 和風建築の理念で、寺院や昔の邸宅のように建築と庭を一つと考えて計画する、「庭と建物は一つが如し」という考えです。

満月の夜を想わせる
幻想的な光に魅せられる。

あたかも月夜の淡い光に照らされたかのように浮かび上がる庭の草木。
控えめな地明かりに誘われ二階からの景色とはまた一線を画す幻想的な世界がそこに現れます。

視界には照明器具を一切置かず、「月明かり」をイメージした上からの柔らかい光だけでこだわりの庭を演出。スポットライトを軒先に設置することで、庭だけでなく2Fバルコニーにも光が広がります。

SPOTLIGHT

スポットライトは軒天井のラインより上に設置する事で器具の存在感をなくし、室内からの視線を景色へと集中させます。

DOL-5207 YW

太陽と同等の表現力を有する「ときめき」シリーズを採用。高い演色性と彩度を持つ光で色づく葉や花々の艶やかな表情を引き立てます。

家と街をつなぐ。

外へ漏れ出てくる庭からの温かい光。
垣根を取り払った建築的なつくりとも相まって
家と街がつながり
道行く人が自然と奥へと誘われます。

美しくライトアップされた主庭。軒天井という高所からのスポットライトで、樹木とグランドカバーをしっかり照らします。

シンプルな配灯計画で最大限の演出効果を狙い、
周辺の街並みや自然の景観との調和も意識します。

あえて照度を落としたエントランス。庭からの温かい光が外へ漏れ出てきて、奥へと誘う効果を発揮します。

Talk about AKARI Kazuhiko Hanai x Toshiya Ogino

庭を美しく照らすために、目指したのは「月明かり」。

花井:荻野さんとはこれまでも数々の住宅建築のお仕事をご一緒し、独自の庭へのこだわりをお持ちだと感じています。今回の物件にもその思想が反映されていると思いますが。

荻野:私の造園スタイルは自然の原風景をそのまま持ってくることが基本です。特にこの家の場合、借景の竹林を取り込むことが前提にあったので、やみくもに樹木を植えたらいけないなと思いました。

花井:今、借景のお話が出ましたが、景観をより活かすには、この家のように開口を絞り込み目線を窓の外に向けさせること、そして照明の数と光量を極力抑えることも大切ですね。

荻野:一流の建築家たちの作品を見てもわかりますが、開口を広げる箇所と絞る箇所でメリハリをつけることが大事です。

花井:今回、庭を美しく見せる方法として、室内照明のポイントに置いたのは調光です。LDKはくつろぎの場所であり、家事や子供たちの勉強の場でもあります。シーンに合わせて照度をコントロールすることが可能だからこそ、夜の映り込みも防ぎ、庭の景色を存分に堪能することができるんですね。また、庭を照らす照明ですが、月明かりをイメージして器具が見えづらい高所の屋根下にスポットライトを設置しました。樹木を照らすために、よく下からのアッパー照明が使われますが、壁にかかる影が不自然な場合があります。あと、グランドカバーに器具がささるので、造園の景観としても美しくありません。一方でいいなと思うのが、月明かりのように自然な影の 演出です。

荻野:お月さんの明かりって、すごくきれいですもんね。

花井:ええ。ですから、極力そんな風にできたらいいなと。それと、照明器具はあくまでも設備器具なので、いかに隠すかを踏まえた上で、一番いい光のあり方を模索しました。

荻野:すべては設計段階からトータルに計画してきたからこそ実現できたことです。建築・造園・照明を別々に考えたところで、なかなかこうはならない。

花井:さらに、造園と照明に関しては「街に緑と明かりを提供する」という視点も大事だと思います。

荻野:周辺とのつながりを意識し、庭はあえて垣根をつくっていません。家からこぼれる「窓あかり」も、人を引き寄せますよね。

花井:照明は庭と家をつなぐだけでなく、家と街をつなぐ役割も担っていると思うんです。

Profile

荻野 寿也 造園家

1999年
アトリエが第10回みどりの景観賞を受賞。
以降、独学で造園を学ぶ。
2006年
荻野寿也景観設計を設立。
2013年
長野県松本市景観賞受賞。
2015年
三井ガーデンホテル京都新町 別邸で
第25回日本建築美術工芸協会賞優秀賞受賞。

建築家との協働多数。原風景再生をテーマに造園設計・施工を手がける。代表作に「アトリエ・ビスクドール」「豊島横尾館」「三井ガーデンホテル京都新町 別邸」の庭など。